何度も紹介してきましたが、あるご婦人と月1,2回の文通が数年来続いています。女性と文通と言ってもご高齢の患者さんです。若い女性とはすっかり縁がなくなった私ですが、知性豊かで気持ちが明るい女性はとても素敵だと感じます。近況など綴ったお便りの最後のページには必ず短歌が何篇か記されており、いずれの詩もこの方の心情が素直に表現され素晴らしいと感心します。
沢山貯まりましたので、お許しをいただいたことにして、いくつかご紹介したいと思います。
2週おきに送られるお便りに対し、当方から時々シリーズの葉書をお届けしています。
長文の最後のページには必ず切り絵を添えて歌が数編記されています。
夕映えの 刈り終えし田に 山鳩の残り穂拾う「くっく、くっく」と
萩の花 ぬれてこぼるる朝の道 友と歩みし過ぎし日を恋う
迷いなき時の過ぎゆく日々なれど 花や蝶々に心遊ばせ
幾すじも雲の茜に燃ゆる空 散歩帰りに腰据え眺む
二百年近き年輪山桃の朽ちても庭に 威厳放つや
暖かき庭の見事に開花する 山茶花米寿を祝い呉れるや
何処の家も柿の豊年枝垂れ成り 何時もの烏姿も見せず
曾孫来てあっち向いて「ホイ」の菊日和り
口びるに落ち葉を当てて声を出す 4歳曾孫の草笛真似り
久々に帰る姫孫に気がはずむ 食事作りて待つ母心
能刺激指先運動毎日の 手紙切り絵と趣味に生かされ
石庭に咲き充つ黄梅つわぶきも 香り失い土にと還る
赤飯で祝って貰う家族愛 「赤いチャンコ」着婆の目うるむ
このご婦人は永年病苦と戦い気丈夫に乗り越えて来られました。これからも素敵な詩を沢山詠まれ長生きしてほしいと思います。私もボケ防止に日々の出来事や野山の移り変わりにもっと関心を持って過ごさなければと教えられます。
(T,A)
「2011年の終わりに寄せて」
今年3月未曾有の東日本大震災、福島原発災害では日本中が悲嘆にくれました。合わせて政局不安定、世界経済破綻と暗く不安な一年でしたが、新しく迎える年は平穏で明るい世の中になるよう祈らずにはおれません。
ブログを立ち上げつたない駄文を掲載していますが文中失礼があればお許しください。失笑されるのを覚悟で認知症予防にこれからも気が向けば書いていきたいと思います。
皆様のご健勝とご多幸を祈念しております。 浅山琢也