10年来受診していた患者さんが大学病院で治療を受けることとなり、当院ではほとんど投薬だけになりましたが、退院後の4年前から月2回の割合で便りをいただき文通が続いています。手術した目が霞むが感謝していること、大学医師の誠意ある診療がうれしいこと、可愛い孫・曾孫や優しいお嫁さんに支えられていること、四季折々の変化や気持ちを詩に読む楽しみなど記され、毎回切り絵付きで詩が数編載せられています。時々絵葉書で礼状を出しますが、文通を通じ励ましあいながらの楽しいお付き合いです。
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     毎回切り絵付きで素直な気持ちで詠まれた詩が添えられています
  
 
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     気がついたら沢山のお便りが貯まっていました、申し訳ない気持ちでいます
 
   
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     切り絵には可愛い子供の絵が多く貼られています、孫・曾孫さんに囲まれ楽しそうな
     光景が目に浮かびます
   ご主人や友人に先立たれ寂しい思いはあれど、周囲に支えられて過ごせるのは感謝・感謝、できるだけ明るく生きようと友人やご家族と交わり、趣味の詩を読むことで気分転換されているプラス思考の姿に共感を覚えます。数か月の間に13通もの便りが貯まりました。添えられていた詩の一部をご紹介しましょう。
  
   
    病む同志 歩める方が逢いに行き
    病む友と ひととき語り忘れ物
    大寒の厳しきオペの古傷が 音符の如くピリピリ痛む
    仏前に婆座らせ七海ちゃん 経本広げ「チュウリップ」歌う
    さくらんぼ曾孫と吹きて飛ばす種 入歯飛び出て笑い転げり
    嫁植えし 初生り胡瓜 婆の膳
    女の孫の京子と語るひとときの 婆の心は言い切れぬ嬉しさ
    目を開けて目薬入れて上げるから もっと開けなさい大人の口調で
    朝市のたき火に集い語る友等 老いて希望の話題乏しき
    曾孫来て必ず仏に手を合わす 大人は誰も拝む者なし
    災害で病む心を勇気づけ なでしこジャパン世界に響く
    土手に咲くたんぽぽ綿毛撫づる杖 名のみ風は何処に運ぶや
    病む夫に喝采の歌枕辺で 歌い聞かせたあの頃偲ぶ
    吹雪日の一歩戸口に足出せば 今日は「止めとき」嫁の一声
    休みとて婆には無縁の暮らしなる 趣味の切り絵に心遊ばせ
    雨降りてこたつの中で聞く立春 老いと病は季節を追わず
    婆の手を両手で包み励まさる 担当医師の手に涙落つ
    そよそよと春風運ぶ鳥の声 寝転ぶ婆にやすらぎの歌
    時折に部屋に入り来る冬の蝶 逝った彼かと手て掌に乗せ
    
    
   気分が乗らずブログ掲載をサボっていましたが、沢山の便りを整理していて勇気をいただきました。
   定期的に書くように努めたいと思います。                  (T,A)