文通の友Hさんは、長期入院の後に療養生活を送られているので案じていましたが、経過良好で通院も遠のいているそうで一安心です。体調や目が悪いのに素直な心情を綴った長文のお便りを度々いただき恐縮します。外出や散歩がままならないのに詩を詠むのはご苦労と思っていましたが、日々の生活や思い出の心中を詠んでおられ嬉しく大変思っています。

 

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         71冊目のノートはこれまでのと同様俳句や和歌に書添えられた思い出や感想文と切り絵が貼られ、今年3月から

    5月末までの作品が記されています。全集にはこれまでの人生を書き綴ってきたが、このノートが最後になるかもと        

 書かれています。頑張り屋のHさんには、まだまだ元気で続けていただきたいと願わずにはいられません。       

  (71冊目の作品からいくつかをご紹介します)

 

  「つくばいに 椿ぽとりと 春一番」

  「師に文を書くときの婆和やかで 取り留めもなき近況の笑み」

  「趣味を持つ心のゆとり下手でよし 切り絵材料輝く笑みて」

  「広告の裏に春の字書き並べ 指先訓練心華やぐ」

  「夢で逢い亡まに抱かれる嬉しさも 冷たき肌に触れて目が覚む」

  「何もかも人の手を借りる婆なれど 自分に出来る時折りの気分」

  「真夜中に遠くで一匹猫の声 とぎれとぎれに哀れさ誘う」

  「爪楊枝注射変わりに婆の腕に チクリと射して女医さん気取り」

  「来訪す曾孫と婆は同じ年 ティッシュぬらしてご馳走作り」

  「毎年の孫の京子届け呉れ 山頭火の絵暦思い出飾る」

  「色々と吾が身にかかわり過ぎた途 心に眼と誓いし運命」

  「入院の八階の窓風薫る」             (注)朝日新聞俳壇入選作

  「母さんが花壇に植えし4、5本のいちごが成って曾孫を待てり」

  「ご慈愛の師のご名刺に触れて見む 胸に去来の老いという文字」

  「ディケアー健康保つ訓練に 老人と言えぬ若作り」

  「二段跳び運動神経発達の 曾孫は婆にやって見せ」

  「卒寿越え豊かな心で生かされる 総てのご慈愛笑みて戴く」

  「夢を見る遺影は若く結ばれし 赤い糸の約束は無理」