90歳が近いNさんと文通を始めて10年程になるのではないでしょうか?大学病院のに通われるようになり、当院では投薬が主となり、その後目が不自由と訴えられるも通院が叶わなくなりました。再発を繰り返し、何度かの手術に耐えられました。
人生を前向きにとらえ、感謝の気持ちを大切に、趣味の俳句を詠み切り絵を愉しむのを生きがいにされており尊敬します。
半月に一度便りをいただき、最近は電話ももらいますが、忙しさに紛れ失礼することも多く、申し訳なく思います。文通がNさんの癒しになるならと思い励ましていますが、どうぞ元気で長生きしてほしいご婦人です。
沢山戴いた詩の中から、いくつかをご紹介します。
「体調のすぐれぬ婆の部屋に来て 眼科医ブログ見せて聞かせて
もう逢えぬ微笑み気遣い語りかけ 心優しき女孫転勤
母さんの作る美味しいちらし寿司 遠きに住めば届もできず
雨上がり二羽の小鳥庭に来て 寄っては離れ何をあさるや
病を持ち総ての慈愛戴きて 修行の途を常に心に
逝った児の年齢浮かぶねむれぬ夜 節くれ指を折り数をとる
連休に親子で楽しむ上機嫌 にこにこ顔の図面に声かけ
一人っ子曾孫優しくお婆ちゃん 踊り見せて笑む顔可愛い
果物のジュース毎日一本と 亡夫の年金体調守る
頑張って切り絵貼りつつ大好きな 歌手の持ち歌響く小部屋に
子や孫の誕生祝と記念樹を 桶に水入れ苗木楽しむ
想い出は次々浮かぶ若き日の 白砂に咲く深夕の花
農作業婆の介護と疲れ果ても 母さん見せぬ姿に合掌
切り抜きて趣味の手帳に貼る心 時の流れを静かに語る」