ご高齢のHさんと文通を始めてから早いもので8年ほどとなり、このブログに詩を紹介すること10回目となりました。毎月のように送られてくる便りは半年間で20部も貯まり、添えられた詩は数えきれないほどです。懐かしい思い出話や日々の生活が手に取るように詳しく書かれ、読むごとに微笑みまた目頭を熱くしています。Hさんの体調が良くないとき、寂しい思いおをされてるとき祈るしかない空しさを毎回のように感じます。毎月絵葉書を届けるだけしか役立てませんが、何事にも前向きなHさんがいつまでも元気で詩を詠まれることを願っています。

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 毎月2、3通便箋5、6枚の便りが届きます。心温まる便りに癒され素晴らしい詩集が拝見でき有難いと思います。

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 書簡のほかに詩を詠んで切り絵と感想文をしたためたノートを年1-2冊作られ時々持参くださいます。ついでに お餅や里芋など好物をいただき感謝しています。

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 大学病院の受診が大変のようで、当院受診は稀ですが目薬は真面目に点眼されています。 

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 曾孫の七海ちゃんと仲良しだそうで、成長を楽しみにしておられるのが目に見えるようです。

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 「老いと病抱えながらも若作り 朝一番の口紅を引く」 前向きなHさんの心意気が大好きです。 

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 平成24年9月5日歌壇入選作「かげろうの燃ゆる一日(ひとひ)もやっと暮れ深まる夜空にさるすべりの花」 
 朝日新聞に和歌を投稿され、たびたび入選されるのはさすがだと感服します。

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 平成24年9月19日 俳壇入選作 「百日紅(さるすべり)ぼそりと一と言送り盆」

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 平成24年10月31日 歌壇入選作 「草刈りし嫁エプロンのポッケより彼岸柿五個婆の手に呉る」 

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 「寝の床に思いのままのひとり旅 亡夫もその旅交わりて居り」 思いはいつも一緒とは羨ましい限りです。

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 「薄紅の秋明菊は小雨受け 夕暮れ迫る小庭に咲けり」
 「ハローインの南瓜に灯り点りいて 子等の手作り歓声の笑み」 いずれもその情景が目に浮かびます。

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 ご夫婦の若かりし頃の釣果を仲良く自画に納め、お二人の仲の良い記念写真を張り付けた一葉を届けてください ました。大変な美男美女でびっくりしました。綺麗で可愛い方だったから今でもその面影が十分感じられるのだ思います。   
 Hさんは十分お幸せでございました!ご馳走様です。

 
  無作為ですが詩集の中からいくつかをご紹介します。
    「幾度も聞きし言葉に合槌す 友の心の安らぎ願って」
    「エアコンの風で動かぬ風鈴を 椅子に上って曾孫が揺らし」
    「月の砂漠病む夫(つま)に聞かす思い出に らくだの絵柄は何時も泣かせり」
    「年毎の初秋はなぜか物哀し 亡き人達の生前偲ぶ」
    「浜なすの花咲く離島思い出の 拾う流木観音像に見ゆ」
    「婆だけが歳を重ねるわけでなし 切り絵の女優さん老いてびっくり」
    「逢う度に幼な日の里くり返えし 笑みて語りし友は逝きたり」
    「曾孫達パパとママとで花籠の 敬老祝すと写真を添えて」
    「運ばれし食事の味の温かさ 一と箸毎に愛情膨らむ」
    「彼岸花重ね着増えし謳歌道 夕焼け小焼けと子供に還えり」
    「汐風の渡く来る道何時しかに 田舎で在りていささかの街」
    「泣き事もうなづきて聞く告ぐわれの きつい言葉も素直に柔らぎ」
    「大相撲力士と同じ体ねじり 婆も力みぬ千秋楽日」
    「頬笑みは福徳招くと確信す 不細工婆も笑みが宝ぞ」
    「婆ちゃんを連れて行ってもいいかしら 確かめ電話嬉しく待てり」
    「奥深く澄みきった空の明け月夜 雲一つなく星座きらめく」
    「カーテンの仕切りの下から覗きつつ 友と語らう病室の夜」
    「始めての曾孫の走る運動会 婆も見たいが体調悪しく」
    「運動会行けぬ婆にとビデオ撮り 部屋の椅子に拍手と涙す」
    「ねむれぬ夜空想の旅多き友と 旅行楽しむ幸せな婆」
    「晩秋の西陽差し込む婆の部屋 亡夫の植えたる木漏れ日揺ぐ」
    「カチュウシャを揺らし曾孫はダンスする 婆にもやれと手取り足取り」
    「段畑の肌木に成る柿の木は 天辺二個の太き実光る」
    「焼き芋を曾孫食べろ立ち上がり グラス二個持ち乾杯しようと」
  高齢で病を抱えるHさんですが、気持ちが若いので長生きされ、これからも素敵な詩を作ってくださると念じ
  ます。寒く天候不順な日が続くので無理をされないようにと願います。    (T,A)